2012年3月27日火曜日

ロドプシンの退色についての質問です。 ある書籍の記述で 「ロドプシンは光が当た...

ロドプシンの退色についての質問です。

ある書籍の記述で

「ロドプシンは光が当たると退色して分解されてなくなり、暗くなると再び合成される。」


との事ですがその後の記述で

「桿体の感度が最高となる510nm付近の波長の光を最も多く吸収して退色し~」

と述べています。

桿体が働いているので暗所視だと考えているのですが

光が当たらない暗所視でも分解はされないまでも退色はするという事なんでしょうか?

ご教授お願いします。







まず、ロドプシンはオプシンというタンパク質とレチナール(ビタミンAの誘導体)が結合したものです。光を受けていない状態のロドプシン中のレチナールは11-シス-レチナール という構造を取っていますが、光が当たるとオールトランスレチナールへと構造が変化します。光が当たってレチナールが構造変化すると、それに結合しているオプシンにも構造変化が引き起こされます。オプシンの構造変化によって(全て書くと煩雑になりますので省略しますが)結果として桿体細胞が活性化されます。



その後、活性化され構造変化したオールトランスレチナールは別の11-シス-レチナールによって置き換えられ、結果としてオプシンの構造変化も元に戻り、再び光によって活性化され得る状態へと戻ります。



ですので、「ロドプシンは光が当たると退色して分解されてなくなり、暗くなると再び合成される。」という記述は間違いではありませんが正確ではないような気がします。分解されてなくなるのはロドプシン中のオールトランスレチナールです。オプシン部分は新しい11-シス-レチナールが結合することによって再利用されますので、ロドプシンの全てが一から「再び合成され」ているわけではありません。



なお、「退色する」というのは11-シス-レチナールがオールトランスレチナールに構造変化することによって最大吸収波長が変化することによります(簡単に言えば、光を当てると色が変わるということです)。



後半の質問ですが、桿体細胞というのは暗所のみで働くわけではありません。錐体細胞は桿体細胞に比べて感度が低いので暗所では働かず、結果として暗所では桿体細胞のみが活性化され得る、ということです。

ですが、いくら暗所視といってもさすがに光が全く無ければ物を見ることはできません。わずかながら存在する光によって桿体細胞のロドプシンが活性化され、結果として暗いところでも物が見えるということです。ですので、暗所視でもロドプシンの活性化→再利用のメカニズムは変わりません。





なお、話が逸れますが「ビタミンAを多く含む食べ物は目にいい」とよく言われるのは、レチナールがビタミンAから合成されるためです。ビタミンA不足になるとオプシンに新しい11-シス-レチナールを供給することができなくなります。

0 件のコメント:

コメントを投稿